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三越伊勢丹、「大量バブル入社組」の人件費が経営圧迫…約1千人削減計画も失敗の様相(Business Journal)

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「三越伊勢丹ホールディングス(HD)」は2018年3月期決算で純損益が▲9.6億円と8期ぶりの最終赤字に転落したと発表しました。同社は現在、21年3月期を最終年度とする中期経営計画を進めており、収益体質の強化と事業構造の転換を図っています。その柱として人員削減(リストラ)を実施し、当初800〜1200人の応募者を見込んでいましたが、18年3月期は173人にとどまりました。19年3月期も応募者を募る計画ですが、現状の条件のままでは計画通りに応募者が集まるかは微妙な状況のようです。

三越伊勢丹ホールディングス(HD)が5月9日に発表した2018年3月期決算は、売上高が前年比1.2%増の1兆2688億円、本業の儲けを示す営業利益が2.0%増の244億円と、増収営業増益を確保した。ただ、最終的な儲けを示す純損益は9.6億円の赤字に転落した。最終赤字は8期ぶりとなる。

同社は現在、21年3月期を最終年度とする中期経営計画を進めており、収益体質の強化と事業構造の転換を図っている。

18年3月期は、在庫リスクの先行処理として、売価で100億円以上の在庫処理を行ったほか、人員削減を進めるなど、コスト削減策を推し進めた。しかし、道半ばということもあり、経費削減効果が表れず、販管費が高止まりしたままで終わった。

売上高販管費比率は27.0%で前年からはわずかだが改善したものの、14年3月期〜16年3月期がいずれも25%台だったことを考えると、コスト削減が進んでいるとはいえない状況にある。

また、販管費の削減が進まなかったため、売上高営業利益率は前年から横ばいの1.9%にとどまった。14年3月期〜16年3月期がいずれも2.6%程度だったことを考えると、本業で儲ける力は落ち込んだままであることがわかる。

さらに、伊勢丹松戸店を3月に閉鎖したことなどで店舗閉鎖損失として24億円を計上したほか、高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」を運営する三越伊勢丹フードサービスの店舗設備の減損損失として111億円が発生しており、ほかと合わせて261億円もの特別損失を計上した。これが大きく影響し、最終赤字に転落することとなった。

●進まないリストラ

18年3月期決算は、構造改革の遅れが鮮明だったといえる。その筆頭は人員のリストラの遅れだ。

三越伊勢丹HDには「ネクストキャリア制度」と呼ばれる早期退職制度があるが、早期退職を促すため、中核事業会社の三越伊勢丹では退職金を最大で5000万円積み増し、部長級の希望退職者の対象年齢を50歳から48歳に引き下げるという大胆な制度推進策の実行に踏み切った。これによりかなりの費用が生じることになるが、それでも人員削減を進めたい考えだった。

しかし、この人員削減が思うように進んでいない。800〜1200人の応募者を見込んでいたが、18年3月期は180人弱にとどまったという。19年3月期も応募者を募る計画だが、現状の条件のままでは計画通りに応募者が集まるかは微妙なところだろう。退職金のさらなる積み増しで応募者を増やすことが考えられるが、これは財務内容のさらなる悪化につながるため、そう簡単にできることではない。

また、新規採用を抑制しての人員調整が考えられるが、同社はバブル期に総合職の人材を通常の3〜4倍採用したこともあり、世代間の人員構成がいびつになっているという問題を抱えているため、新規採用を抑制しての人員調整は、人員構成のいびつさに拍車をかけることになってしまうという問題がある。

従業員の士気低下や反発を恐れて強く踏み込めないという事情もあるだろう。昨年3月に大西洋前社長が退任したが、同氏の改革に反発した社員が現社長の杉江俊彦氏を担ぐかたちでクーデターを起こして大西氏を退任に追い込んだともいわれているが、それが事実であれば、杉江社長は自身が二の舞になることを恐れて、社員に退職を強く迫ることはできないだろう。いずれにしても、人員のリストラが進んでいないのが現状だ。

●“周回遅れ”のデジタル化

人員のリストラの遅れに加え、デジタル化の遅れも深刻だ。同社は今頃になってデジタル化を強く推し進めると言いだしたが、遅きに失した感が否めない。

杉江社長は昨年11月7日の18年3月期中間決算発表で「小売業のままでは生きていけない。IT企業に変わっていかなければ競争に勝てない」と述べ、デジタル化への決意を表明した。

具体的なデジタル化策として、カード会員の顧客情報や店頭で収集した顧客情報、販売員が持っている上客の顧客情報などを一元管理し、顧客の特性に応じた広告の配信や商品・イベントの紹介、さらには取引先の在庫状況を確認できるようにするなどの取り組みを行っていくという。

また、杉江社長は5月9日の18年3月期決算発表で「我々が持っている商品がデジタル上で登録されていない。来てもいただけない状態だ。そういう意味で、今、デジタル商品登録を開始している」と述べ、同社の商品を顧客がインターネット上で検索できるようにしているという。

4月には、ようやくスマホアプリをリリースした。店内の案内やおすすめ情報を発信していくという。

周回遅れもいいところだろう。多くの小売企業では当たり前にやっていることを、三越伊勢丹はこれから行っていくというのだから驚きを禁じ得ない。驕りのツケが回ってきてようやく重い腰を上げたわけだが、あまりにものんきすぎないか。

期待できそうなところとしては、デジタルを活用した新規事業がある。現時点で内容は明かせないとしながらも、7つほどの案件があるという。外部知見を活用し、必要があればM&A(合併・買収)や業務提携を行うことも視野に入れているようだ。ただ、明らかでない部分が大きいため、現時点では成長の計算に組み込むことはできないだろう。

デジタル化に加え、主力の百貨店事業の活性化も急務だ。同社は21年3月期までに伊勢丹新宿本店や日本橋三越本店に200億円以上を投資して改装することを表明し、活性化を進める方針を示している。ただ、その効果が出るのは先の話だ。

改装といった中長期的な収益改善策は、もちろんやらなければならない重要施策ではあるが、短期的にわかりやすいかたちで結果が出る施策も同時に必要だろう。近い将来に希望が持てなければ、遠い将来にも希望を持つことができないからだ。そういう意味で、百貨店事業の不透明さも深刻な状況といえるだろう。

18年3月期の決算発表は、同社に対して多くの人が抱く不安感を十分に払拭するには至らないものとなった。さらなる構造改革や抜本的なテコ入れ策が必要といえるだろう。

(Business Journal)

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