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●「希望退職制度」による退職金の割増に関する最新情報についての記事です。
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ひところ前に比べると、景気は上向いているらしい。が、貰える給料が増えたわけでもないし、暮らしが楽になったわけでもない…と感じている人は少なくないだろう。さらに、「リーマンショック級」ともいわれるイギリスのEU離脱が控えるなど、先行きには不安が募るばかり…。
そんな時代だからこそ知っておきたいのが、「希望退職制度」による退職金の割増について。要は「社員を減らしたいから辞めたい人集まれ!」という時、定年前に退職する代わりに退職金を増やしてくれる仕組みだ。
また、大規模リストラ時だけでなく、恒常的に早期退職者制度を設けている企業も少なくない。だから、“そろそろ会社がヤバイ…”と思う前にたくさん退職金をもらって早めの退職というのも現実的な手段といえるだろう。
実際に希望退職者を募集する際は50歳以上などが対象になっているケースが多く、30代のビジネスマンが当事者になることは少ない。しかし、将来を見越して相場は知っておいて損はないはずだ。
では、この希望退職による退職金の割増はどの程度なのだろうか。人事戦略研究所の山口俊一さんに聞いた。
「2011年度の人事院調査『民間企業退職給調査』によると、自己都合退職金に対する割増率は45歳で89.2%、50歳で68.1%、55歳で59.5%となっています」
つまり、若ければ若いほど割増率が高くなるということだ。さらに従業員1000人以上の大企業では45歳が167.3%、50歳89.4%、55歳61.2%。退職金の額は勤続年数などによって変動するが、希望退職ならば50歳ならおおむね1500万円割増されるという。
「ただ、これは企業による違いが極めて大きい。景気の良し悪しももちろん関係しますが、退職金の割増額はそれぞれの会社の年収水準・退職金水準、さらに収益状況によって決まります。ですから、簡単にいえば大企業ほど割増額が多く、中小企業は極端に低くなりがちです」
そのため、企業の経営状況が厳しくなってからの希望退職では割増退職金は抑えられ、収益が高い時期は割増退職金が高くなるのだとか。
では、具体的に各企業は希望退職者への割増退職金をどのくらい支払っているのだろうか。希望退職者数に対して、企業が特別損失を計上しているかを算出するかたちで、2015年度の事例を調べてみた。
●シャープ
希望退職者:3234人/特別損失:243億円
→約750万円/人●日本たばこ産業
希望退職者:1951人/特別損失:591億円
→約3086万円/人●あいおいニッセイ同和損害保険
希望退職者:440名/特別損失:113億円
→約2570万円/人●KADOKAWA
希望退職者:232名/特別損失:50億3800万円
→約2170万円/人●横河電機
希望退職者:1105名/特別損失:160億円
→約1450万円/人※2015年度中の各社による希望退職募集結果リリースに基づく
もちろん各社の年収水準が異なるので一概に比較はできないものの、シャープの数字を見れば“経営が悪化してからの希望退職では退職金割増額が少ない”ということが実によくわかる。
「経営の厳しい企業では割増金が低くても退職希望者は出やすくなり、収益が高い企業では割増金がそれなりに高くないと『辞めないほうが得』と思われてしまう。この事例を見ても、まさにこの法則が当てはまっていると思われます」
実際に当事者になるのは、ずいぶんと先のことだが、将来的に希望退職制度・早期退職制度の利用を考えるならば、勤めている企業の経営状況や将来性と割増される退職金額をうまく天秤にかけた方がいい、ということを覚えておくべきだろう。
(ライブドアニュース)