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住宅購入前に「不測の事態」防ぐ試算のススメ(NIKKEI STYLE)

●家計防衛に役立つ情報をピックアップしています。

住宅購入後に、転勤を始めリストラによる希望退職や病気・怪我などの不測の事態が起こったとき、どうしても住宅を処分せざるを得ない場合があります。そのとき取るべき道は「売る」か「貸す」かの2択になりますが、「売る」→任意売却のケースについては先日関連書籍を紹介しました。

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今回は「貸す」ことを想定した試算方法がわかりやすく解説されている記事をご紹介します。

住宅を購入した後で転勤やリストラ、病気など、いわゆる「不測の事態」が起きたとき、住宅を処分する方法は2つしかない。「売る」か「貸す」かだ。そのときに、あなたの家計がどのようなことになるか、想定はできているだろうか? ぜひ、住宅を購入する前にやっておいたほうがいい試算がある。

■資産価格より見通しやすい賃料

最低限、住宅ローンの残債に売却費用を足した価格以上で売れれば資金の持ち出しはないし、毎月の住宅ローン返済額に管理費を足した賃料で貸せれば、キャッシュフローはマイナスにはならない。

とはいえ、将来の資産価格を想定するのはプロでも困難。たとえ予測したところで、期間が長くなるほど見通しは難しくなる。

そこで今回は、資産価格に比べて変動が少ない賃料をとりあげる。賃料は景気変動などに左右されにくいといった硬直性があり、資産価格に比べれば想定は比較的容易だ。住宅を人に貸した賃料収入で、住宅ローンや各種費用をまかなうといったリスクヘッジができるラインを考えてみよう。そのためには、以下の簡単な計算式に数字を当てはめていけばよい。

(1)賃料を想定

インターネットや住宅情報誌などから、「同じ(近い)駅」「同様の築年数・間取り・広さ」の賃貸情報を多く収集する。誤差が小さくなるよう、サンプルはできるだけ多めがよい。同じ駅になければ周辺駅の類似物件を探そう。

このとき平方メートル当たりの賃料を出しておけば、微妙に広さが異なる物件同士も比較しやすい。また、将来売りに出す想定なのだから、自分の住宅について築年数は5年、10年など上乗せしておく。

(2)不動産業者にヒアリング

複数の不動産業者に、自分が購入しようとしている物件と同等条件ならいくらくらいで貸せるのか、賃料を尋ねてみる。利用駅で最も繁盛していそうな地元不動産業者、大手など複数にあたるとよい。

(3)収入予想を計算


・賃貸情報から想定した賃料 …… A
・不動産業者から想定した賃料 …… B
・(A+B)×0.475 …… C


上記の計算式は2つの数字(AとB)から平均を出し、5%割り引くということを意味する。物件情報に掲載される賃料はあくまでも貸主側の提示額であり、よほどの人気物件でない限り、そのままの額で貸し出されることは少ない。

5%と仮定している掛け目は地域や物件によってまちまち。国立社会保障・人口問題研究所のデータなどを参照にしながら、将来、人口減が進みそうなところ、維持される可能性が高いところではこの掛け目を調節したい。

(4)貸すコストを算出

住宅を人に貸す期間中にかかる各種のコストを割り出す。


・住宅ローン(月額) …… D
・固定資産税(月額) …… E
・管理費と修繕積立金(月額) …… F(マンションの場合)
・維持管理費用 …… G
・合計(D+E+F+G) …… H


住宅ローンがボーナス払い併用なら月々均等にならした数字を、変動金利を利用しているなら金利上昇を想定して、現在より高めの金利を入力する。金利情勢は読みにくいが、とりあえず3%程度と仮定しておけば安全ではないだろうか。住宅ローン控除はそこに住まなくなったら適用外だ。

家賃収集をはじめとする賃貸管理業務を業者に依頼するならこれ以外にもコストがかかる。目安として想定賃料の5%程度を入力しておこう。

マンションの場合は管理費と修繕積立金は所有者持ちだから、当然コストとして踏まえておく。他に、共用部の修繕は原則として修繕積立金でまかなえるが、室内(専有部)のメンテナンスやリフォーム費用は所有者負担だ。ここでは大まかに、建物価格の0.5%程度としておこう。

一戸建ての場合、管理費はかからないものの、点検・メンテナンス・リフォームなどの費用は自分で積み立てなければならない。目安として年間、建物価格の1%程度を見込んでおこう。

固定資産税は年額を12で割って記載。新築を購入する場合、数年後に固定資産税の軽減措置が切れ、大幅にアップすることを忘れずに。

(5)判定

想定賃料から上記コスト合計を引く。

・「想定賃料」C-「コスト」H=C’

このC’が実質ベースの収入だ。C’がプラスなら人に貸すとプラス、マイナスなら費用の持ち出しが発生する。マイナスを改善するには、頭金額を増やして毎月のローン額を減らすか、購入価格を下げて住宅ローン額を減らすという、大きく2通りの方法がある。

しかし、ここで出た数字がマイナスになることそのものが悪いというわけではない。大切なのは、不測の事態が生じた際に「自分のケースではこれぐらいマイナスになる可能性がある」ということをあらかじめ想定し、納得しておくということだ。

(NIKKEI STYLE)

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