30歳にしてリストラ候補者となったことから意識を変え、31歳で社内ベンチャーに飛び込み、33歳でグループ企業約130社の現役最小役員に抜擢された俣野氏が「サラリーマンの極意」を説いた記事です。
読者はリストラの危機に遭ったことはあるだろうか。「職を失う」という絶望は、経験者にしか分からない感覚だ。明日からの稼ぎを失うということであり、唐突に「飢え」という言葉が目の前をちらつき始める。『プロフェッショナルサラリーマン』(俣野成敏/小学館)の著者である俣野氏も30歳のとき、リストラ候補に挙がってしまったそうだ。終身雇用制度が崩れてしまった今、なんとなく働いているだけでは、あっという間に上司から肩を叩かれてしまう。俣野氏は、リストラ候補に挙がってから意識を変え、31歳で社内ベンチャーに飛び込み、33歳でグループ企業約130社の現役最小役員に抜擢された。
本書は、逆転満塁ホームランを打った俣野氏が説くプロフェッショナルサラリーマンになるための具体戦略だ。このプロフェショナルサラリーマンとは、会社を辞めずに、サラリーマンであることの特権を120%活かして自分の仕事にやりがいを持つビジネスパーソンのことだ。74項目にも及ぶ「プロフェッショナル」を教えてくれているので、いくつか紹介していこう。
◆プロは上司を「仕事の仕入れ先」と思う
俣野氏は、仕事を「仕える事」ではなく「仕入れる事」と定義している。仕事は「やらされている」のではなく、誰かが与えてくれているものなのだ。若い20代なら特に、その仕事を与えてくれるのは上司だ。つまり上司は「仕事の仕入れ先」なのだ。そして自分は「自分商店」の店主。会社に属する人間にとって、上司との関係は仕事人生を左右しかねない。良い上司と当たればいいが、悪い上司と当たってしまったときは精神も参るし、仕事のパフォーマンスも落ちる。しかし、上司を「仕事の仕入れ先」と思えば、それ以上でもそれ以下でもなくなり、人間性を気にしなくなるのだそうだ。
◆プロはバタバタしている姿をみせない
「すいません、ちょっと最近バタバタしておりまして…」。このようなことを言われたら、聞いた人はどのような印象を持つだろうか。きっと「この人忙しいんだろうな」「忙しくて余裕がないんだろうな」と思うはずだ。しかし俣野氏は、これこそプロとして良くないと指摘する。上司が部下のバタバタしている姿や発言を聞くと、「こいつ余裕ないな。別のやつに仕事を頼もう」となるはずだ。そうすると、千載一隅のチャンスで回ってきた良い仕事を逃すことになるかもしれない。だからこそプロは「私には空きがありますよ。どうですか」という余裕を常に見せておくのだ。例え本当に忙しくてバタバタしたくても、社内の飲み会や一緒に仕事がしたいメンバーの集まりには絶対に遅刻しない。それがプロ。そして目的を達すると、何食わぬ顔をして会社に戻るのだという。
◆プロは仕事の目的と背景を確認する
読者は、上司から仕事を仕入れたら、まずどのように動くだろうか。俣野氏によると、できるだけ素早くとりかかるのはNGだそうだ。プロはその仕事を始める前に、上司に「目的」と「背景」を確認するという。指示する側の上司は「そんなこと、わかってんだろ」という感覚で指示を出すことが多いが、言われている方は「目的」や「背景」が分からないことが多い。そのまま仕事を進めると、あとで上司から修正を要求されたり、勘違いをしてやり直すハメになったりする。だから上司に「目的」と「背景」を確認するため、「今、頂いた仕事の目的はこうで、この目的に至った背景はこうですよね」と質問するそうだ。この質問なら面倒がる上司はいない。
仕事は人生の大半を占める。だからこそ毎日楽しく働けるようになりたいし、できれば偉くなって、街をふんぞり返って歩きたい。金をたくさん稼いで、札束に囲まれて暮らしたい。そのためには仕事のプロになる必要がある。そのためにも本書を読んで、プロフェッショナルの極意を学んでみてはいかがだろうか。
(ダ・ヴィンチニュース)
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