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大企業の社員が「寄らば大樹の陰」といわれる5つの背景(@DIME アットダイム)

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大企業の「魅力」について分析した記事です。いわゆる経営面や労働条件についてではなく、組織・人事面から分析された興味深い内容となっています。

大企業の社員を「寄らば大樹の陰」の考えで、「会社にしがみつく人」とけなしたり、バカにした、否定したりするとらえ方がある。

しかし、中小企業よりは、大企業のほうが、社員の定着率がはるかに高い。いつの時代も、新卒や中途の採用試験では、中小企業よりも大企業にエントリーする人が多い。

なぜ、多くの人は大企業に魅力を感じるのか−−。今回は、私がこれまでの取材経験で感じ取ったことをもとに考えてみたい。ちなみに今回は、大企業の「賃金」「労働条件」「福利厚生」などは、あえて省くようにした。

■社員のレベルが高い

大企業の社員は、全般的に様々な意味で水準が高い。中小企業の社員と比べると、特に基礎学力や意識などが相対的に高い。プライドも高く、競争で勝ちたいという情熱を持った人も多い。意識の高い人が多数並ぶのが、大企業の大きな魅力だ。高いレベルの人の間でし烈な競走があるからこそ、ハイレベルな人になる。

仕事を早く覚え、高い業績を残す人材になるためには、レベルの高い社員がたくさんいる中にいないといけない。レベルの低い人が多数いる中で、優秀な人は生まれえない。多少、抜きん出たレベルになったところで、周囲のレベルが低いから、「優秀」とは言えない。

■人材育成の体制が整っている

人材育成で最も大切なのは、上司の「部下育成力」である。部下が育つか否かは、上司の力や経験、意識しだいだ。大企業の場合、中小企業よりは、管理職の部下への指導や助言、コーチングなどは全般的に水準が高い。

中小企業の場合、社員の定着率が低く、社員間でし烈な競争があまりない。競争があったとしても、レベルが高い人たちの競争とは言い難い。これでは、レベルの低い人までもが、キャリアを積むと管理職になってしまう可能性がある。レベルの低い人は権限を持ったとしても、部下への育成ができない。そもそも、自分が一定のレベルに達していない。こういう会社に入ったところで、多くの人が伸び悩むことになる。

■人事評価のレベルが高い

大企業の人事評価は、中小企業よりは客観的なものになっている。評価をする上司のレベルも全般的に高い。労働組合や人事部もあり、「人事評価は客観的にならなければいけない」という空気や文化が社内にある。それが十分とは言い難いかもしれないが、中小企業の人事評価よりは、はるかにマトモである。

大きな傾向として、優秀な人は認められやすく、競争で負けた人は認められないようになっていく。こういう環境も、大企業の魅力である。中小企業よりは人材の淘汰が正確に、確実に進んでいる。

■人材の新陳代謝が進んでいる

大企業は、人事異動や配置転換が頻繁にある。少なくとも年に1回は、定期異動のある会社が多い。しかも、全国や海外を含めた大規模なものになる。グループ会社への出向や転籍も増えている。リストラも、大規模になる。一方で、新卒も中途採用も、大規模に行われる。人材の新陳代謝が進んでいる。嫌な上司や先輩、同僚らがほかの部署へ行ったり、辞めたりする可能性が中小企業よりは高い。

中小企業は、人事異動や配置転換が少ない。出向や転籍はほとんどない。社員の定着率が低いから、30代半ばまでくらいの社員は辞めていくかもしれない。40~50代の嫌な上司などは、なかなか辞めない。組織の新陳代謝が進まないから、意識の高い人には物足りない職場になりやすい。

■強い組織

人材の新陳代謝が大規模に進むことは、組織が生き物のように動き、しだいに体質や社風などが変わっていくことを意味する。一時期の混乱もあるかもしれないが、3~5年という期間で見ると、組織そのものが強くなっていく。大企業が中小企業よりもはるかに、会社の寿命が長い理由の1つはここにある。

優秀な人材は、強い組織の中から生まれてくる傾向がある。中小企業から優秀な人がなかなか生まれないのは、人材の新陳代謝が進まず、組織が一向に変わらないからだ。

大企業で働く社員を「寄らば大樹の陰」で、「会社にしがみついている」ととらえるのは、実態に即していないのかもしれない。なぜ、いつの時代も多くの人が大企業に魅力を感じるのか。実は「安定」や「将来性」などではなく、「社員や組織のレベルが高い」ことに、社員たちが大きな満足をしているからではないだろうか。

(@DIME アットダイムより転載)

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